こんにちは。
今回は、刑事実務の対策についてです。
0.総論
刑事実務は刑法と刑事訴訟法について問われます(当たり前ですが)。
刑法については、論文の問題を口頭で答えるような感じです。
刑事訴訟法は、初年度や二年目あたりはわりと細かい手続についての問いがあったのですが、三年目あたりからはあまり細かい条文・規則は問われずにもう少し、理論的なところ(2014年であれば訴因変更の要否)といった点が問われるようになってきているように思います。
あくまで個人的感想ですが、刑事訴訟法を含め口述試験は全体的に条文知識そのものよりも考え方に重点を置くようになってきていると思います。
筆者は、わざわざ口述という形式で試験をするのに知識を問うても仕方がないと思うので、こういった流れが適切なのではないか、とは思います。
1.刑法
以上を踏まえて、刑法の対策ですが、択一の復習と論文の復習をしておけば足りると思います。
これだけだとざっくりしすぎているので、もう少し細かく書いておきます。
まず、総論分野については、論文でも問われるような論点について、判例はどういう立場に立っているのか、それに対し学説はどう評価しているのか、というところを確認しておけばよいと思います。
次に、各論分野ですが、各犯罪の構成要件の定義を押さえておくこと、罰条の振り分けが問題になるものについて区別基準を説明できるようになること、を中心に復習すればよいと思います。
罰条の振り分けについてもう少し説明しておくと、例えば、殺人と傷害致死、横領と背任、不作為の殺人と保護責任者遺棄、といった隣り合う犯罪について、区別をどうするのか、を説明できるようにしておくことです。
刑法についてはこんな感じですかね。あとは条数がすぐに出てくるようにしておくことですね。
2.刑事訴訟法
刑事訴訟法については、いわゆる論点について、具体的事例における帰結まで説明できるように復習することがだと思います。ということで、自分が使っているテキストを復習することが対策になると思います。
そのうえで、公判における手続については、択一の復習をしつつ、辰巳の「司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック〈2〉刑事実務基礎」がよいかなと思います。レイアウトが見づらかったり、ちょくちょく誤植があったりしますが。
他には、司法研修所検察教官室編『検察講義案』(法曹會)を読んでみるのもいいと思います。これはどちらかというと知識をざっと確認するのに適した本だと思います。
口述試験では、手続の細かい知識は問われない方向になりつつあるのだと推測しますが、そうはいっても、できることはしておくことが後悔しないために大事なので、きっちり条文知識を押さえておくのがおすすめです。
さて、上で紹介したものを含め、多くの受験対策本がどちらかというと検察側からの視点で書かれているものが多いと思います。一方で、刑事実務科目を理解するには、弁護人側から見た刑事手続というものを知っておく必要があると思います。
そこで、紹介したいのが、宮村啓太「事例に学ぶ刑事弁護入門―弁護方針完結の思考と実務」(民事法研究会)です。この本は、簡単な事例を基に刑事弁護の流れを説明しています。
比較的薄い(1日もあれば読み終えられる量)でありながら内容は濃く、多くのことを得られると思います。
刑事実務については、このあたりで良いかと思います。
次回は、筆者が実際にした対策について書いていきたいとおもいます。
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